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思春期の生と死(その2)

 思春期には心の中での「死」の体験をすることは避けられませんが、思わず口に出してしまうほどの死の恐怖というのはどのようなものなのでしょう。思春期の心の中ではどんな世界が広がっているのでしょうか。それを少し見せてくれるのか、思春期前後の人たちが好む、アニメやマンガ、ゲーム、小説の世界です。

 子どものアニメのような、必ず良いものによって悪者が懲らしめられるという安心安全なものではなく、時には良いものが倒されてしまうbad endの世界が入り込んでくるのが思春期です。もちろん紆余曲折を経て何らかの解決をもって結末を迎えるという展開がほとんどですが、その途中のプロセスには悲喜こもごもの困難や苦労があり、ある時は大事な仲間や、時には主人公が犠牲になることで解決、なんていう結末もあり、子どものアニメのように単純にhappy endのお話ではなくなります。

 その中には生きることの意味、自分とは何か、人生において何が大切なのか、善悪の狭間での葛藤、自分はどうあるべきか、仲間との関係、などなど、思春期に考えるべきことがたくさん詰まっています。思春期には、そういった「二次元」と呼ばれる世界に自分の心を重ね、共に生き、それらを現実の仲間と共有し、心身の激変に伴う死の恐怖や喪失の不安や悲しみに対処しているのです。

 その先に、自分でつかみ取った自分としての新たな「生」が開けてくるのです。

 思春期は「二次元」の世界そのままの、生と死をかけた戦いの世界を生きているとも言えるでしょう。

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