COLUMN

わらっている子どもたち

中学生までの子どものカウンセリングをご希望の保護者の方へ

 心に何らかの不安や心配ごと、苦痛を抱えた、幼児・児童期(幼稚園~小学生)・思春期(主に中学生)の子どもたちのセラピー・カウンセリングは、とても不安定なものです。

 特に思春期(中学生)の子どもたちは、病院にもカウンセリングにも拒否的になることはよくあることです。そして、ようやく病院に行ってくれた、カウンセリングが始まったと思ったら、しばらくすると症状が悪化したり、情緒不安定になったり、「行きたくない」と言い出したりすることも少なくありません。しかしそれらは、心の作業の過程で必ず訪れる局面だと言っても過言ではありません。

 一般的にカウンセリングというと、話せばすっきりするもの、吐き出すことで心が軽くなると思われがちですが、不安でいっぱいになった、傷ついた、重苦しい心の世界を探索していくこと、心に触れていくことは、大人でもそう簡単なことではありません。拒否する子どもたちはそれをどこかで感じている、わかっているのです。

 子どもが表現する遊びや絵、アニメ、マンガ、ゲームの世界は、その不安に満ちた心の世界を安全な形で伝えてくれるものです。ですが、身体の傷や痛みと同じように、触れられること、思い浮かんでくることが苦痛や恐怖となり、カウンセリング・セラピーの進展とともに、その世界に近づきたくない、逃げてしまいたいと思う時期が必ずと言っていいほど訪れます。そして一時的に症状が悪化したり、不安定になったり、実際に来所が途絶えてしまったりすることもよくあります。

 ですが、それは「後退」ではなく、最も苦しいところに触れているという意味で「進展」でもあり、カウンセラー・セラピストの働きかけが、確実に心に届いているという表れでもあるのです。

 ほとんどの子どもたちは、最初は拒否していても、あるいは、途中で気持ちが保てなくなり来所が途絶えてしまっても、保護者が寄り添い考え続ける、あるいは向き合い続ける姿勢を示すことによって、必要な時期が来れば、自分の心の世界を知るべくやって来られる、あるいは、再び来られるようになります。

 子どもが来られない間は、例えば、保護者と同席面接にしたり、しばらく保護者のみで継続するなど、セラピー・カウンセリングの枠組みを柔軟にアレンジしながら、次に子どもの心が動き出すまでの間を、空白にせずにつないでいくことが大切になります。不安でいっぱいになった子どもの心の世界を、保護者が子どもの心の代わりとなって考え続けることで、子どもの心の世界にまた考える隙間が生まれてきます。

 そういう意味で、幼児から思春期(中学生)の子どもたち、とくに思春期(中学生)の臨床において最も大事なことは「あきらめない」ということです。

 考え続ける道のりを共にするために私たちセラピスト・カウンセラーがいます。

 理解できない、見えない子どもの心の世界を、わかる、見える世界にするために、どうぞ私たちに会いに来てください。

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