COLUMN

お母さんと赤ちゃん

一人でいられる能力

2021年9月

他人と距離を置かざるを得ないコロナ渦の今、他人と以前のように触れ合えないことに不安を感じる人、かえって気が楽になったという人、あまり変わりないという人、その体験は人それぞれですね。

人の繋がりとは何でしょうか。生まれた瞬間からそれは見えない不確定なものになります。小児科医で精神分析家でもあるウィニコットは、心の成熟の指標の一つに「一人でいられる能力」を挙げています。それは、乳幼児期に安心できる誰か(主には母親)と一緒にいる時に一人でいられた(To Be Alone)、という体験を基盤にしています。母親が目の前にいなくても、赤ん坊が一人遊びに夢中になっていたり、一人で楽しそうにしている様子を思い浮かべるとわかりやすいでしょうか。逆説的ですが、一人でいられる人は本質的には一人ではないと言えます。

この見えない繋がり(感)は通常、多少の差はあれ基本的には誰にでも備わっている能力ですが、それを保つのには、一定程度、現実の体験、つまり実際に他人と触れ合う体験を必要とします。その方法は文化によって様々ですが、今の世の中がしばらく続くと考えると、自分の中の繋がりを再確認できる新しい工夫が必要なのかもしれませんね。

ワンポイントアドバイス 今までになく、他人との繋がりに不安や、逆に苦痛に感じるという人は、自分から相談しにくい心理状態になります。周囲に気になる人がいれば声を掛け合ってくださいね。

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